花(植物)の 写真と 自然の紹介。自然に詳しい森林インストラクター& 環境カウンセラーが、
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高層湿原を訪ねて・・・¬献峰高原・湿原の花々
ニッコウキスゲと霧ヶ峰
ニッコウキスゲ咲く霧ヶ峰2007/7月下旬

霧ヶ峰は諏訪市の東北部、標高1600〜1900mの高地に広がる高原で、
なだらかな斜面に大草原が拡がっている。

車山から白樺湖を望む
車山から白樺湖を望む 2007/7月下旬

年間平均気温は5.8°Cと低く、内陸的気候で南面からの上昇気流により、
霧が絶えず発生し年間300日近くにも及ぶことから霧ヶ峰の名称があるという。

我が国でも屈指の霧ヶ峰一帯の大草原は、冷涼な気候や強風の影響により
樹木の生長が抑制される気候的・地形的要因と、
採草地として採草と火入れが常時行われてきた人為的要因により、
植生の遷移が妨げられ、森林に移行することなく、草原が維持されてきた。
しかし、昭和30年頃より採草・火入れが行われなくなりアカマツやシラカバ、ダケカンバなどの陽樹が侵入し、森林化が進行しているところも増えてきている。

また大草原の中に緑の濃い樹林が点在している。ここは岩石が露出していたり、沢や谷があったりしたため、火入れや採草が出来ずに残されて成立した原生の樹林で、樹叢と呼ばれている。

ニッコウキスゲ大群落
霧ヶ峰高原のニッコウキスゲ大群落 2007/7月下旬

霧ヶ峰では、6月のレンゲツツジの群落が草原を赤に染め、7月半ばにはニッコウキスゲが全山を橙黄色に彩り、8月半ば過ぎにはマツムシソウの群落が草原を薄紫色で埋め尽くす。
特に亜高山性、高山性の百花が咲き乱れる夏の草原は、草花の観察には最高のシーズンとなり、観光客やハイカーでごった返す。

青空とクルマユリ
クルマユリ咲く霧ヶ峰 2007/7月下旬


エゾカワラナデシコ
エゾカワラナデシコ咲く霧ヶ峰 2007/7月下旬


シシウドと青空
青空に映えるシシウド 霧ヶ峰 2007/7月下旬

霧ヶ峰には国の天然記念物に指定された3つの高層湿原(八島が原湿原、踊り場湿原、車山湿原)がある。
規模も大きく、本州ではほぼ南限に位置し、学術的にも貴重な存在といわれる。

八島湿原全景
八島が原湿原全景 2007/7月下旬

高層湿原とは、湿原中の植物が、寒冷なために枯死しても分解(腐敗)されず
泥炭化し、堆積し、凸レンズ状に盛り上がり、ミズゴケ等が主として生育している湿原をいう。

湿原のモウセンゴケ
鎌が池のモウセンゴケ 2007/7月下旬 八島が原湿原

八島が原湿原は尾瀬ヶ原と並ぶ日本を代表する高層湿原で、泥炭層の深さは8.1mと測定され、ほぼ10000〜20000年の歴史を持つといわれている。
低温、貧栄養、強酸性の悪条件の中で、ミズゴケをはじめとし約300種の植物が繁茂しているという。
湿原に生育しているミズゴケ類は18種類にも及び、ミズゴケの種の多さでは日本最大の釧路湿原と肩を並べるといわれる。
また、キリガミネヒオウギアヤメ、キリガミネアサヒラン、キリガミネアキノキリンソウなど、霧ヶ峰の名が付く注目すべき植物も多く観察できる。

ヨツバヒヨドリと池
ヨツバヒヨドリと八島が池 2007/7月下旬八島が原湿原

西側には八島ヶ池、東側には鎌ヶ池があり、その中間に鬼ヶ泉水と呼ばれる池がある。
近年、他の湿原と同じく、八島ヶ原湿原も周辺の森林化や降雨量の減少、観光客の増加による踏み荒らし等、自然環境の変化と人為による影響で乾燥化が進んでいるという。
自然環境の変化による乾燥化への対応は、大変難しい側面があるが、水を枯らす要因となる周囲の森林の伐採等の検討も必要かもしれない。
人為の影響の面は、様々な調査が行われつつあるようであるが、緊急の諸対応が必要であろう。
他の地区の湿原と同様、踏み荒らしなどからの影響を避けるため木道が整備されているが、まだ未整備の部分も多く見られる。

霧ヶ峰の自然は、述べてきたように大草原と高層湿原に代表される。
大草原では四季折々に咲く花が私たちを魅了し、高層湿原は学術的にも貴重な植物が繁茂している。

アカバナシモツケ咲く
アカバナシモツケの花が美しい霧ヶ峰 2007/7月下旬


高原のクジャク蝶
geishaの名がつクジャクチョウ 霧ヶ峰2007/7月下旬

現在、霧ヶ峰の自然は、一方では人為がなくなったための草原の森林化による
多様性の喪失、
他方では人為による湿原の乾燥化、富栄養化、帰化植物の侵入という一見矛盾するような問題点を抱えている。
今後、霧ヶ峰の多様な自然を保全していくためには、試行錯誤を重ねながらの様々な施策が必要であろう。
【2007.10.20 Saturday 10:08】 author : haruo1103
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