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軽井沢の5月・・・サクラソウの生態
軽井沢高原の春の訪れは遅い。
軽井沢の山や林は、4月も中頃を過ぎると、あちこちに、コブシの白い花が目立ち始めます。
コブシの彩り
初春の軽井沢 2007/4/29 軽井沢発地

コブシの花が最盛期を過ぎ、4月も終わりに近づく頃、カラマツが芽吹き、桜が咲き始め、待ちこがれた春がやってきます。
オオヤマザクラ
ピンクの濃いオオヤマザクラ 2007/5/1 中軽井沢

林の中で、オオカメノキがアジサイに似た純白の花を開き、
ピンク色の濃い、花の大きい、オオヤマザクラの花が咲きはじめると、
冬の枯れ木の装いであった里地や、別荘が点在する森は、明るい輝きを増し、
春の賑わいを見せてきます。
オオカメノキ
オオカメノキの純白の花 2007/5/20 北軽井沢

5月に入り、GWも終わる頃、林床から、草本や、低木の芽吹きが始まります。
林の中のあちこちで、ヒナスミレやエイザンスミレ、サクラスミレが
薄いピンクや紫の花をつけ、
アズマイチゲの白い可憐な花が、春の訪れを知らせます。
サクラスミレ
桜の花びらに似るサクラスミレ 2007/5/21 軽井沢離れ山

5月中頃にはミズナラやコナラ、ケヤキ、ミズキ、ハルニレなどの高木が芽吹きはじめ、若葉の季節を迎えます。
浅間の裾野の芽吹き
浅間裾野の木々の芽吹き 2007/5/20 北軽井沢

木々の芽吹きがはじまる頃、林床では、落ち葉の中で、シロバナエンレイソウが大きな3枚の葉をひろげ、白い3弁の花を咲かせています。
湿り気の多い北斜面や沢沿いでは、あちこちに太い茎を伸ばし、大きな株を作っているハシリドコロが目に入ります。
ニッコウネコノメ
渓流沿いのニッコウネコノメ 2007/5/17 軽井沢千が滝

水しぶきを上げる渓流沿いでは、ネコノメソウの仲間の小さな黄色の花がめだち、
そして芽吹きはじめた、明るい林床や草地を、サクラソウの花が点々とピンクに彩り、
ルリソウが、木漏れ日を受け、瑠璃色に輝く花をつける頃になると、軽井沢の春は本番を迎えます。
ルリソウ
青色が美しいルリソウ 2007/5/21 軽井沢離れ山

サクラソウはサクラソウ科、サクラソウ属の多年草です。
サクラソウのアップ
日本各地の、明るく湿った林地や河川敷、草地に自生し、時に群生します。
里地・里山など、人里に近い所に多く自生するため、開発により多くの自生地が消滅ないし、孤立・分断化しています。
畔のサクラソウ
畔のサクラソウ 2007/5/20 軽井沢

埼玉県さいたま市田島ヶ原のサクラソウの群生地は、国の天然記念物に指定されています。
ここでも周囲の開発により、生息地が乾燥化と同時に、孤立化し、花粉媒介昆虫が訪れなくなり、種子をつける個体が少なくなっているため将来の絶滅が危惧されています。
サクラソウは異型花柱性という特殊な受粉形式を持った草花です。
雄しべより雌しべの花柱が長い「長花柱花」、雄しべより雌しべの花柱が短い「短花柱花」、雄しべ、雌しべの長さがおなじの「同花柱花」の3種の構造を持った花があります。
そして、異なる花型を持つ花の間(「長花柱花」と「短花柱花」)で花粉がやり取りされないと正常に種子繁殖ができないという性質を持っています。
花粉のやりとりは、ハナバチやチョウなどの昆虫によって行われます。
ただし、「同花柱花」は自らの花の受粉により種子を実らせることができます。
しかし田島ヶ原の群生地のように孤立化している生息地では、受粉昆虫、特にハナバチが訪れる機会が少なく、同花受粉で種子を結ぶことになり、遺伝子の広がりが妨げられ、同一遺伝子の個体が増えていきます。
すなわち遺伝子の広がりが少ない(遺伝的多様性の低い)個体群による群生となるわけです。
生物界においては遺伝子の広がりが高い(遺伝的多様性が高い)ということは、環境の変動や病原菌の広がりに対応できる可能性を高くし、絶滅を防いだり、未来の新たな進化のためにも重要な要素でとなるわけです。
そのため、ある地域で単にサクラソウが群生しているということだけでは健全な生態系を構成しているかどうかは評価できないわけです。
個々の自生地の個体群の健全性を評価するには、この遺伝子の広がり(遺伝的多様性)を診ていくことが重要な要素となるわけです。
サクラソウ離れ山
雑木林内のサクラソウ 2007/5/21 軽井沢離れ山

軽井沢においても、ゴルフ場や別荘の開発で、明治の中頃までは、日本でも有数であった湿地は現在では当時の3%の面積に減ったといわれます。
ゴルフ場が開発される前は多くの湿地が点在し、池や沼地も多く、特有の草花が咲き乱れていたようです。
土地の長老の話では、サクラソウは、湿地や草地、明るい林地などあらゆる場所に群生しており、それは美しく見事であったそうです。
軽井沢ではオキナグサもそのような運命をたどった花とのことです。
失われた自然を復元することは極めて困難なことです。
「美しい日本」を残すには、自然の積極的な保護・保全は火急の課題と言えるでしょう。
【2007.05.22 Tuesday 23:58】 author : haruo1103
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