バリ島を彩る花々・・・フランボヤンFlamboyan |
4年ほど前、バリのウブドのメイン通りから歩いて5〜6分ほどの田園地帯の中にある小さなビラに宿泊をした。 ビラに通じる、でこぼこした田圃の畦道の傍に、小さな寺院があった。 寺院の庭から道を覆うように、大木が笠状に広がり、横に長く伸びた枝先には、 鮮やかな緋色の花が満開だった。 しばし、この華麗にして絢爛な、南国ならではの真っ赤な花に、しばし見とれた。 青空をバックに、のびはじめたばかりの、涼しそうな羽状の若緑色の葉との対比のなかで、鮮赤色に燃え上がるような花は、えもいわれぬ美しさであった。 大木の花であるが故にその美しさの印象は強烈だった。 フランボヤンの花は寺院の庭や、街路樹として植栽されていることが多く、乾期の終わりから雨期のはじめ頃に鮮やかな緋色の花をつける。 バリの雨期はほぼ11月から4月。 雨期といってもバリのそれは一日中雨が降ることは殆どない。 1〜2時間、雷鳴と共に猛烈な勢いで雨が降り、その後は青空がのぞくといったふうである。 盛期の11月から12月に見られるフランボヤンの花は大変美しく見事である。 2006年12月はじめ、夕日を眺めに、バリ島の南部、主都デンパサールの南に突き出たバドゥン半島にあるウルワト寺院Pura Uluwatuを訪れた。 断崖の上に立つウルワト寺院は、夕日の美しい場所として、多くの観光客が訪れる。 ウルワト寺院に向かう道沿いには点々とフランボヤンの大木が道を覆うように見事な花をつけていた。 寺院の庭園から望まれる森は、フランボヤンの花で、オレンジがかった鮮赤色に彩られており、 石灰岩で出来たウルワト寺院をバックに、ブーゲンビレアの深紅の花と、森を彩るオレンジ系の鮮赤色のフランボヤンの花は、素晴らしい景観を作り出していた。 フランボヤンはマダガスカル島の原産で、熱帯地域ではかなりポピュラーな花のようです。 英名はフレーム・ツリー(Flame Tree)・「炎の木」で、日本ではホウオウボクや火焔樹とよばれます。 バリ島ではメラMerakとよばれます。 マメ科の落葉高木で緋色やオレンジ色系の鮮やかな花を咲かせます。 葉は羽状複葉でネムノキに似ています。 乾期には落葉し、枯れ木のようなたたずまいを見せます。 乾期の終わり頃になると葉を開き、花を開きます。 熱帯の樹木は一年中葉をつけている常緑樹が多いのですが、 フランボヤンのような落葉樹はバリ島では異色の感じがします。 もっとも乾季と雨季が極めて明快な熱帯の地域ではかなり落葉樹も存在するようです。 日本では落葉樹というと寒さを耐え、冬を越すために落葉すると考えられがちですが、 熱帯でも落葉樹が存在することから、冬に落葉するのは、寒さもさることながら、乾燥に耐えるということが大きな要因のようです。 フランボヤンは花が終わると、剣状のサヤをつけ、種を実らせます。 サヤは幅が5センチ、長さは40〜50センチもあり、茶色から黒く変色して、枝からぶら下がるさまは、異様な感じがします。 この種子はレイやネックレスの等の素材として使われ、土産物として売っているのを目にします。 またバリ島ではフランボヤンに葉も花もよく似た、ピーコックフラワーPeacock Flowerがあります。 バリではクンバン・メラKembang Merakとよばれます。 花はオレンジ系の色で、黄色の縁取りがあります。 ピーコックフラワーとフランボヤンの違いは、 ピーコックフラワーは、一年中葉が落ちず、花も連続して咲くことです。 また木の高さも、花の大きさも小さくDwarf Flame Treeと呼ばれます。 この2種の木は近縁ですが別種の樹木です。 |
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