花(植物)の 写真と 自然の紹介。自然に詳しい森林インストラクター& 環境カウンセラーが、
日本の 雑木林 とバリ島を専門に、自然環境、里山の植物、現地文化の情報を詳細にガイドするブログ。
 


こちらに本サイト管理人の別運営 バリ島完全個人旅行。観光現地情報サイト リンク!

奥志賀林道沿いの植物(花)
奥志賀林道は長野県の奥志賀高原から野沢温泉、栄村に至る約70kmの林道である。
2〜3スキー場が点在するものの、道路沿いには施設や家など全く無い、すべてが山の中の道路で、
ひたすら奥深い山の尾根沿いを走る、自然豊かな素晴らしい林道である。
道路のガードレールは殆んどがワイヤーで作られている。
雪深い山地なので、取り外しが出来るよう工夫されているからであろう。
林道沿いは雑魚川の渓流が美しい。
山女や岩魚の渓流釣りの釣り人もちらほら見かける。
渓流沿いは白樺が林立し、若葉に映えて輝きを増している。
シラカバ林
白さが映える渓流沿いの白樺の森 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

栄村にぬける奥地の林道沿いはブナの原生林が見事である。
ブナ大木林
ブナの原生林が続く林道沿い 2007/6/05 長野県 奥志賀林道

ブナの大木の間では、芽吹き始めた若葉の中でムシカリの白い花が
陽の光をうけて輝いている。
ブナとムシカリ
輝く若葉の中のムシカリの白い花 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

ブナ林のところどころに点々とムラサキヤシオの深紅色の花がめだつ。
雪国のブナ林下では特にその艶のある美しさを発揮する。
ムラサキヤシオ咲く
ブナ林の林床を彩る真紅が美しいムラサキヤシオ。横娃亜殖供殖機…耕邯 奥志賀林道

深紅ムラサキヤシオ
ブナ林の林床を彩る真紅が美しいムラサキヤシオ◆。横娃亜殖供殖機…耕邯 奥志賀林道

尾根筋の岩峰などを鮮明なピンクで飾るアカヤシオは主に北関東、
ムラサキヤシオは日本海側の雪国を主とする美しいヤシオツツジである。
アカヤシオの花が終わる頃、うつむき加減に白い清楚な花をつけるシロヤシオは
太平洋側のやや湿った尾根筋や岩場に咲き、ツツジとしては大木の雰囲気を持ち、
幹も太く、丈も高く、樹齢200年を超えるものも多いという。
シロヤシオの花
ブナ林下のシロヤシオの花 2008/6/14群馬県 甘楽町

林道脇の傾斜地の窪地にはまだ所々に雪溜まりが残っている。
周辺は雪解けの水で湿地状のところも多く、芽吹き始めのミヤマハンノキや
ダケカンバの低木林に足を踏み入れると、
湿った場所のところどころで白い花が咲いている。
明るい若緑の葉と白花のコントラストが大変美しい。
大きな葉の間から花茎を伸ばし、白い宝石を散りばめたような
サンカヨウの可憐で清楚な花。
サンカヨウ咲く
可憐で清楚なサンカヨウの花 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

サンカヨウの群生
群生するサンカヨウの花 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

サンカヨウはメギ科の草本で、本州中部の日本海側の雪深い深山から亜高山が分布の中心である。


林の斜面の上方には車輪状に大きな葉を広げ純白の花を咲かせている
大きな葉を持った一群が目に付く。
キヌガサソウの群生である。
キヌガサとは高貴な人の陽よけに付き人がさしかけた傘の「衣笠」からの命名といわれる。
キヌガサソウ咲く
車輪状の大きな葉と白い花のキヌガサソウ 2007/6/5長野県 奥志賀林道

キヌガサソウは深山や亜高山の雪解けと共に咲くユリ科の草本でツクバネソウ属に分類されている。
花が終わる頃、花被片の色は緑や褐色に変わってくる。
残念ながら、傾斜の激しい礫地の上方に花があるため近づくことが出来ず、
やや遠くからの撮影となった。
キヌガサソウ咲く
大輪のキヌガサソウ 2006/8/4長野県 栂池自然園

雪解け水が滴り落ちる谷川の沢沿いの岩場に目をやると、大きめの葉の上に
一部紫褐色のアクセントが入った、小さな玉のような花が水しぶきを浴びながら咲いている。
可憐そのものの花であり、
沢沿いの谷間にあって、清々しく爽やかさを演出している。
野草としてはかなりしゃれた雰囲気の花でもある。
名前はアズマシロガネソウでキンポウゲ科の花である。
渓流のアズマシロガネソウ
 沢沿いの彩り、アズマシロガネソウ 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

多くのキンポウゲ科の花がそうであるように、この花も花弁に見えるのは5枚のガク片で、中の小さな黄色の部分が花弁である。
アズマシロガネソウ
 洒落た彩、アズマシロガネソウ 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

この花も秋田から福井の日本海側の雪深い山地が分布の中心とされている。

また沢沿いの水の滴る流水縁にはリュウキンカの艶のある黄色い花が目立つ。
湿地のリュウキンカ
流水縁のリュウキンカの花 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

リュウキンカもキンポウゲ科の草本でこの花も花弁に見えるのはガク片である。
高原の湿地に多い花で、尾瀬では水芭蕉に混じり一面に花を咲かせている光景が
美しい。

雪解けの湿った林下や、雪解けの斜面に点々とオオバキスミレの姿が見える。
雪国の黄色いスミレといえばオオバキスミレを指すといってもよく、
日本海側の多雪地に分布する。
黄スミレ咲く
多雪地の湿った場所に多いオオバキスミレ 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

そのため関東の低山地域ではなかなか見られない憧れの黄色いスミレの花でもある。
またこの時期、スミレでは
オオタチツボスミレやミヤマスミレが林道沿いで可憐な美しい花を咲かせている。
ミヤマスミレ志賀
深山の林床に咲くミヤマスミレ 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

オオタチツボ
花も葉も大きいオオタチツボスミレ 2007/6/5 長野県 奥志賀林道

オオタチツボスミレは距が白いことからタチツボスミレと区別できる。
湿り気のある林床にはピンクがかったコミヤマカタバミの花が可愛らしい。
林床のコミヤマカタバミ
ややピンクがかったコミヤマカタバミの花 2007/6/5 長野県 奥志賀林道


本年2008年は残念ながら奥志賀林道を訪れる時期を失してしまい上記の写真は
昨年度の写真のアップとなりました。ご了解ください。
【2008.07.02 Wednesday 18:56】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
八ヶ岳山麓の春の花たち
ズミの花咲く八ヶ岳山麓
ズミの花咲く八ヶ岳山麓の春 2008/6/07長野県 野辺山
 
八ヶ岳は標高2899mの主峰赤岳を中心に南北に峰々が連なる。
これらは全体として一つの独立した火山列を形成しており、フォッサマグマ地域に位置している。
そして火山の噴出物の堆積により広大な裾野が形成されている。
北端の蓼科山から南端の編笠山まで南北21kmに及び、中央の夏沢峠を境に
北八ヶ岳と南八ヶ岳に二分される。
ツツジと南八ヶ岳
飯盛山から南八ヶ岳をのぞむ 2008/6/07長野県 南牧村
 
本州のほぼ中央に位置しているため、
植物の分布は日本の南限や北限にあたるもの、
日本海と太平洋の境界を接するもの、
氷河期の遺存種といわれるもの、
フオッサマグマ地域系と呼ばれるものなど植物相は極めて豊富である。
1500m以上の亜高山帯には1300種に近い植物が記録されているという。

2008年6月半ば、クルマで佐久から蓼科スカイラインに入り、蓼科山の裾野の大河原峠周辺を散策した。
峠の周辺は2000mの高地でシラビソ、オオシラビソ、コメツガ、天然カラマツなどの針葉樹が多く、
亜寒帯常緑針葉樹林帯の様相を呈している。
亜高山の天然カラマツ
天然カラマツが茂る亜高山の岩場 2008/6/14長野県 佐久市

伐採跡地等の陽地はダケカンバ林が拡がっている。
路傍の草地には今を盛りとシロバナノヘビイチゴが一面に白い花を咲かせている。
シロバナノヘビイチゴ爽やか
林道端に咲くシロバナノヘビイチゴ 2008/6/14長野県 佐久市

シロバナノヘビイチゴは比較的高地で見られる草イチゴの仲間である。
ヘビイチゴの名前はあるが赤い果実は大変美味である。
ダケカンバ林に続く道沿いの法面ではミヤマスミレが濃紫の美しい花を咲かせている。
紫紅色のミヤマスミレ
濃紅紫の可憐なミヤマスミレ咲く 2008/6/14 長野県佐久市

岩場の方へ足を踏み入れると、コメツガ、シラビソ、カラマツ、ダケカンバが茂り、林床に点々と
黄色の花が目立っている。
亜高山や高山の、林縁や岩場に近い場所でよく見られる
黄スミレ仲間のキバナノコマノツメだ。
数多いスミレの中で、スミレの名のつかない唯一のスミレで、
葉の形が駒(馬)の爪に似ていることからつけられた名前らしい。
さわやかキバナノコマノツメ
キバナノコマノツメ咲く 2008/6/14 長野県 佐久市

キバナノコマノツメ群
群がるキバナノコマノツメ 2008/6/14 長野県 佐久市

岩場や倒木のある場所、草地では濃紅色のコイワカガミの花が美しい。
コイワカガミの群生
礫地のコイワカガミの花 2008/6/14長野県 佐久市

円形で厚く艶のある葉から岩鏡の名がつけられたという。
日本海側の低山のものは葉が特に大きくオオイワカガミ、高山に登るに従って葉が小さくなり
コイワカガミと呼ばれる型になる。
淡紅のコイワカガミ
淡紅色の美しい花冠を持つコイワカガミ 2008/6/14長野県
佐久市

イワカガミ(イワウメ科)類は岩場や高山の雪田などで見られる幅の広い適応力を持つ植物である。
コイワカガミとキバナコマノツメ
礫地を彩るコイワカガミとキバナノコマノツメ 2008/6/14  長野県 佐久市


やや湿った針葉樹の林床に、ぽつりぽつりと物静かに咲いている清楚な白い花に目が止まる。
ヒメスミレサイシン、ツバメオモト、コミヤマカタバミの花たちだ。
白いヒメスミレサイシン
抜けるような白色が美しいヒメスミレサイシン 2008/6/14  長野県 佐久市

ヒメスミレサイシンはフォッサマグマ地域にだけ棲息するという比較的珍しいスミレである。
ヒメスミレサイシンはスミレ、ツバメオモトはユリ、コミヤマカタバミはカタバミの仲間で
共に深山に分布し、春に可憐な白い花を咲かせる。
倒木下のツバメオモト
倒木の傍のツバメオモトの花 2008/6/14 長野県 佐久市

コミヤマカタバミは、山地の林内の湿った場所に生えるミヤマカタバミに似ているが、
花はより小型で、生育場所も深山や亜高山の針葉樹林内や夏緑林下である。
コミヤマカタバミの花
亜高山帯に咲く清楚なコミヤマカタバミの花 2008/6/14 長野県 佐久市

針葉樹林内の林床は、温度が低いのと、針葉が油脂を含むため分解が遅く厚い腐植層が堆積している。
分解が早く腐植層の薄い熱帯雨林のジャングルとは対照的である。
コミヤマカタバミはこの厚い腐植層に地下茎を伸ばして生育している。
カタバミの仲間は葉が睡眠運動をすることで有名であるが、
白い花を咲かせた後、蕾だけを出し、咲かずに実を結ぶ閉鎖化をつける植物でもある。
スミレも同じように花のあと閉鎖化をつけ実を結ぶが、
閉鎖化は、花を開くことのない省エネ策と、送紛昆虫が少なくなったときに確実に実を結ぶ知恵を身に着けた優れものとでもいえようか。
【2008.06.24 Tuesday 11:57】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
狭山丘陵の春(3)
狭山丘陵ではソメイヨシノの花が終わりに近づく頃、
赤褐色の若葉の開葉とともに咲きはじめる
ヤマザクラの白い清楚な花が目立つようになる。
咲き始めヤマザクラ
咲き始めたヤマザクラ 2008/4/09 狭山丘陵

僅かに芽吹きが始まった雑木林の奥地では、ミツバツツジの花が咲き始める。
芽吹き始めた木々の中で、2〜3m位の幹から細く伸びた枝先に、
薄めのピンクや、紅紫色の花をつけ、
狭山丘陵の、入りくんだ沢沿いの、奥深い林内の斜面を彩っている。
奥地のミツバツツジ
奥地のミツバツツジ 2008/4/09 狭山丘陵

大木の間のミツバツツジ
大木の間のミツバツツジ 2008/4/09 狭山丘陵

ところどころで、早春の雑木林を、うす紅紫色に染めている風情は、
いかにも、魅力的で、美しく、すがすがしい。
雑木林のミツバツツジ
雑木林のミツバツツジ 2008/4/09 狭山丘陵

自然の中で咲く花の美しさは何ものにも変えがたい趣がある。
紅紫ミツバツツジ
紅紫色が美しいミツバツツジ2008/4/09 狭山丘陵


ところどころに常緑樹のアオキの赤い実がきわだつている。
アオキのみ
モミノキのふもとのアオキの実 2008/4/09 狭山丘陵

雑木林の中の路傍では、フモトスミレが、花弁に紫の筋の入った小さな可憐の花を咲かせている。
フモトスミレ咲く
雑木林にフモトスミレ咲く 2008/4/09 狭山丘陵

渓流のタチツボスミレ
渓流沿いのタチツボスミレ 2008/4/09 狭山丘陵


ミツバツツジは庭木として植栽されているのをよく見かけるが、自生地は関東地方から近畿地方にかけての太平洋側の狭い範囲である。
ミツバツツジは枝先に3枚の葉(ときに5枚)が輪生することからつけられた名で、
日本各地にさまざまの仲間が分布し、ミツバツツジ亜族として分類されている。
主に静岡より西の地域ではコバノミツバツツジ、日本海側の多雪地域にはユキグニミツバツツジ、
九州中部のサイゴクミツバツツジ、紀伊半島や四国地方の一部に分布するトサノミツバツツジ、
関東地方から東北にかけての山地に自生するトウゴクミツバツツジ等々、様々である。
トウゴクミツバツツジ
深山のトウゴクミツバツツジ 2005/5/31 軽井沢

ミツバツツジと他のミツバツツジとは、ミツバツツジだけが雄しべが5本であることから見分けられる。
かつて山里では、春の訪れと共にミツバツツジが山の尾根や岩場を紅紫色に彩り、
里山の春の風物詩となっていたが、
最近では盗掘、開発、野山の荒廃などですっかり姿が少なくなってしまったのは
誠に残念である。
狭山丘陵においてもしかりで盗掘や林の荒廃で僅かになってしまった。
最近ではカタクリなどの貴重種とされる植物の維持管理のためのボランティア活動が活発化しているが、
あたかも公園のような、自然の状態から逸脱した管理がされているところも多い。
今後、自然の自生を、盗掘や野山の荒廃から守り、自然の状態で維持していくには、
多くの知識と体験を通した、たゆみない地道な努力が必要となろう。
生物多様性という視点からもきわめて重要なことである。
【2008.04.17 Thursday 15:30】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
狭山丘陵の春(2)
狭山丘陵の西端部の森林は、侵食谷が入り込み、
谷沿いや丘陵の斜面には、ところどころに、樅の大木が茂り、
深山の様相を呈している。
コナラやクヌギの雑木林と隣り合わせに、大木となったヒノキやスギの植林地が、丘陵の斜面を覆い、
常緑樹の侵入とあいまって、山深いの森林の様相を一層濃くしている。
大沢
狭山丘陵奥地の沢沿い 2008/4/03 狭山丘陵

3月から4月にかけては、森深いこの辺りの丘陵地は林床の樹木の芽吹きが始まったばかりで、
樹木の上層部はいまだ冬の景観となっている。
雑木林の林床ではところどころでシュンランが、地味ながら、品のある花を咲かせている。
雑木林に咲くシュンラン
林床に咲くシュンラン 2008/4/03 狭山丘陵

シュンランはラン科の花で、よく見るとなかなか美しい。
このシュンランには“ホクロ”や“ジジババ”の別名がある。
“ホクロ”とは、花びらの唇弁のところに紫色の斑紋があり、それをホクロに見立てた名前であり、
“ジジババ”は、シュンランは花をふたつつけることが多く、
その姿がおじいさん、おばあさんに似ているからという。
じじばばシュンラン
じじばばと呼ばれるシュンラン 2008/4/03 狭山丘陵

子供の頃、私の育った群馬県ではシュンランは“じいとばあ”と呼ばれ親しまれていたが、
今でも“じいとばあ”の呼称は健在のようである。

渓流沿いのやや暗い、湿った林床で、白い可憐な花が、うつむきかげんに点々と咲いている。
カタバミ科のカントウミヤマカタバミの花だ。
林床のカントウミヤマカタバミ
うつむき加減のカントウミヤマカタバミ 2008/4/03 狭山丘陵

カントウミヤマカタバミは関東周辺地区に分布している、ミヤマカタバミの変種である。
ミヤマという名がついてはいるが、深山に限らず丘陵地や低山でも見られる。
湿地のカントウミヤマカタバミ
湿った雑木林の林床に咲くカントウミヤマカタバミ 2008/4/03 狭山丘陵

カタバミは傍食という字を充てる。
カタバミの仲間は、野や市街地のカタバミ、アカカタバミ、山地のコミヤマカタバミ、ミヤマカタバミ、オオヤマカタバミなどの種があるが、
日が陰ったり、夜になると葉を下に折り畳み、片側が食べられたような形になるので傍食の名がついたという。
このように夜などに葉を閉じる運動は就眠運動といい、マメ科の植物などに多い。
渓谷沿いニリンソウ
渓流沿いのニリンソウ 2008/4/03 狭山丘陵

渓流沿いをさらに進むと、今を盛りと白い花をつけたニリンソウの群生に出会う。
ニリンソウは渓流沿いや林下など湿った場所が好きで、群生しているのをよく見かける。
山菜としてもよく利用されるが、猛毒のトリカブトの葉に似るため、誤ってトリカブトの葉を食べ
中毒症状をおこし、マスコミでで報道されることも多い。
アオイスミレ咲く
アオイスミレ咲く 2008/4/03 狭山丘陵

雑木林のナガバノスミレサイシン
雑木林のナガバノスミレサイシン 2008/4/03 狭山丘陵

渓流沿いのなだらかな斜面では、アオイスミレやナガバノスミレサイシンの花が咲き、
ヤマルリソウの花も姿も見せ、深い森の中にも、着実に春は訪れている。
(次回へ続く)
【2008.04.16 Wednesday 10:05】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
狭山丘陵の春(1)
狭山丘陵は、東京都と埼玉県にまたがり、東西11km、南北の最大幅4km、面積3500haの丘陵である。
東京都側が東村山市、東大和市、武蔵村山市、瑞穂町、埼玉県側が所沢市、入間市の5市1町に位置している。
中央部は狭山湖と多摩湖があり、湖の周囲の緑地は水源涵養保護林となっている。
丘陵地は、樹木の枝のように多くの侵食谷が発達し、森林からの湧水の出口には、
大小さまざまの谷戸が形成され、湿地が点在している。
谷戸の春
谷戸に春の訪れ 2008/4/09 狭山丘陵

かつては谷戸は水田に利用されてきた場所が多いが、現在では狭山丘陵では水田耕作は放棄され、
ボランティア活動による水田耕作のみが行われているに過ぎない。
雑木林、沼地、湿地などを含めた谷戸は数多くの動植物が生息し、多様性豊かな生態系を形作っている。
しかし近年の開発により多くの谷戸が失われ、生態系に大きな影響を与えているのは周知のとおりである。
芽吹く雑木林
雑木林の芽吹き 2008/4/4 狭山丘陵

狭山丘陵の雑木林はかつては薪炭や落ち葉採取に利用されていた2次林である。
昭和30年代以降、生活様式の変革に伴い、生活林、農用林としての用途がなくなり、開発にさらされたり、
手入れが行われなくなり、常緑樹や笹に覆われ、荒廃している雑木林が多くなっている。
一方、狭山丘陵は狭山湖、多摩湖の周辺の雑木林は水源林として保護されてきたため、深山に匹敵するような森林も維持されている。
丘陵の西方の谷深い森林にはモミの大木が茂っているのはそのよい例である。
このあたりでは、丘陵地と同時に山地性の植生が見られ、
狭山丘陵の生物多様性を高めている。

狭山丘陵の奥地へ向かう路傍では葉がこげ茶色に染まったヒカゲスミレ(タカオスミレと呼ばれる)が、
紫の筋の入った薄いピンクの花を咲かせ、
タカオスミレ
路傍のタカオスミレ 2008/4/3 狭山丘陵

渓流沿いではセントウソウが小さな白い花をちりばめている。
セントウソウ咲く
渓流沿いのセントウソウ 2008/4/3 狭山丘陵

渓流沿いの雑木林ではメジロがさえずり、あちこちでウグイスの鳴き声がこだます。
沢の上層部の、ヒノキや大木のモミの木が茂るあたりからは、オオタカのピュー、
ピユーというけたたましい鳴き声が聞こえてくる。
繁殖時の求愛の声であるという。
芽吹き始めた雑木林では、ウグイスカグラのピンクの花が、
ウグイスノキ
春を告げるウグイスカグラ 2007/3/14 狭山丘陵

そして純白のモミジイチゴの花が可憐のたたずまいを見せている。
モミジイチゴ
純白のモミジイチゴの花 2008/3/28 狭山丘陵

ウグイスカグラの名前の謂れとして、カグラは隠れが転用されたもので、
“ウグイスが隠れるような枝ぶりの木”からきているという説があるが、
ウグイスが盛んにさえずる頃花を咲かせる木であることは間違いない。
春のウグイスカグラ
カグラは“隠れか神楽か”・・・ 2008/3/28 狭山丘陵

ウグイスカグラはウグイスノキという地方名があるが、的を得た呼び名のような気がする。

モミジイチゴは梅雨の時期に黄色のみずみずしい果実をつける。
小学生の頃、山あいの小さな山村にいた頃、よく山にこの実を摘みにいった。
その地域では‘黄イチゴ’とか‘あわいちご’と呼ばれ、甘酸っぱいおいしいイチゴである。
モミジイチゴ実
モミジイチゴの実 2005/6月 狭山丘陵

モミジイチゴはバラ科の低木で2年目の枝に実をつけ、実をつけた後は枯れる。
ほぼ2年が寿命であるが、地下茎から絶えず芽を出し、適地へ移動し、増殖していく。
竹と同じように、草と木の中間的な性格を持った植物で、草に位置づける学者もいる。
モミジイチゴ清か
清楚な装いのモミジイチゴ 2008/3/28 狭山丘陵

(次回に続く)
【2008.04.11 Friday 09:42】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
高層湿原を訪ねて・・・¬献峰高原・湿原の花々
ニッコウキスゲと霧ヶ峰
ニッコウキスゲ咲く霧ヶ峰2007/7月下旬

霧ヶ峰は諏訪市の東北部、標高1600〜1900mの高地に広がる高原で、
なだらかな斜面に大草原が拡がっている。

車山から白樺湖を望む
車山から白樺湖を望む 2007/7月下旬

年間平均気温は5.8°Cと低く、内陸的気候で南面からの上昇気流により、
霧が絶えず発生し年間300日近くにも及ぶことから霧ヶ峰の名称があるという。

我が国でも屈指の霧ヶ峰一帯の大草原は、冷涼な気候や強風の影響により
樹木の生長が抑制される気候的・地形的要因と、
採草地として採草と火入れが常時行われてきた人為的要因により、
植生の遷移が妨げられ、森林に移行することなく、草原が維持されてきた。
しかし、昭和30年頃より採草・火入れが行われなくなりアカマツやシラカバ、ダケカンバなどの陽樹が侵入し、森林化が進行しているところも増えてきている。

また大草原の中に緑の濃い樹林が点在している。ここは岩石が露出していたり、沢や谷があったりしたため、火入れや採草が出来ずに残されて成立した原生の樹林で、樹叢と呼ばれている。

ニッコウキスゲ大群落
霧ヶ峰高原のニッコウキスゲ大群落 2007/7月下旬

霧ヶ峰では、6月のレンゲツツジの群落が草原を赤に染め、7月半ばにはニッコウキスゲが全山を橙黄色に彩り、8月半ば過ぎにはマツムシソウの群落が草原を薄紫色で埋め尽くす。
特に亜高山性、高山性の百花が咲き乱れる夏の草原は、草花の観察には最高のシーズンとなり、観光客やハイカーでごった返す。

青空とクルマユリ
クルマユリ咲く霧ヶ峰 2007/7月下旬


エゾカワラナデシコ
エゾカワラナデシコ咲く霧ヶ峰 2007/7月下旬


シシウドと青空
青空に映えるシシウド 霧ヶ峰 2007/7月下旬

霧ヶ峰には国の天然記念物に指定された3つの高層湿原(八島が原湿原、踊り場湿原、車山湿原)がある。
規模も大きく、本州ではほぼ南限に位置し、学術的にも貴重な存在といわれる。

八島湿原全景
八島が原湿原全景 2007/7月下旬

高層湿原とは、湿原中の植物が、寒冷なために枯死しても分解(腐敗)されず
泥炭化し、堆積し、凸レンズ状に盛り上がり、ミズゴケ等が主として生育している湿原をいう。

湿原のモウセンゴケ
鎌が池のモウセンゴケ 2007/7月下旬 八島が原湿原

八島が原湿原は尾瀬ヶ原と並ぶ日本を代表する高層湿原で、泥炭層の深さは8.1mと測定され、ほぼ10000〜20000年の歴史を持つといわれている。
低温、貧栄養、強酸性の悪条件の中で、ミズゴケをはじめとし約300種の植物が繁茂しているという。
湿原に生育しているミズゴケ類は18種類にも及び、ミズゴケの種の多さでは日本最大の釧路湿原と肩を並べるといわれる。
また、キリガミネヒオウギアヤメ、キリガミネアサヒラン、キリガミネアキノキリンソウなど、霧ヶ峰の名が付く注目すべき植物も多く観察できる。

ヨツバヒヨドリと池
ヨツバヒヨドリと八島が池 2007/7月下旬八島が原湿原

西側には八島ヶ池、東側には鎌ヶ池があり、その中間に鬼ヶ泉水と呼ばれる池がある。
近年、他の湿原と同じく、八島ヶ原湿原も周辺の森林化や降雨量の減少、観光客の増加による踏み荒らし等、自然環境の変化と人為による影響で乾燥化が進んでいるという。
自然環境の変化による乾燥化への対応は、大変難しい側面があるが、水を枯らす要因となる周囲の森林の伐採等の検討も必要かもしれない。
人為の影響の面は、様々な調査が行われつつあるようであるが、緊急の諸対応が必要であろう。
他の地区の湿原と同様、踏み荒らしなどからの影響を避けるため木道が整備されているが、まだ未整備の部分も多く見られる。

霧ヶ峰の自然は、述べてきたように大草原と高層湿原に代表される。
大草原では四季折々に咲く花が私たちを魅了し、高層湿原は学術的にも貴重な植物が繁茂している。

アカバナシモツケ咲く
アカバナシモツケの花が美しい霧ヶ峰 2007/7月下旬


高原のクジャク蝶
geishaの名がつクジャクチョウ 霧ヶ峰2007/7月下旬

現在、霧ヶ峰の自然は、一方では人為がなくなったための草原の森林化による
多様性の喪失、
他方では人為による湿原の乾燥化、富栄養化、帰化植物の侵入という一見矛盾するような問題点を抱えている。
今後、霧ヶ峰の多様な自然を保全していくためには、試行錯誤を重ねながらの様々な施策が必要であろう。
【2007.10.20 Saturday 10:08】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
高層湿原を訪ねて・・・|咼諒深掌兇硫屐
池ノ平湿原は長野県東御市の標高2、000mの高地にある高層湿原である。
この辺り一帯は浅間山、黒班山、高峰山、籠の登山、湯ノ丸山等標高2000メートル以上の浅間山系が続いている。

湿原全景
池ノ平湿原全景 2007/7/5 長野県 東御市

池ノ平湿原は浅間山系の「籠の登山」に近い、「三方ヶ峰」(標高2,040m)の旧火口湿原である。
浅間山系一帯は日本海型気候と太平洋型気候の接点になっており植物の種類も多く、多様性も高い。
年間1200種の高山性、亜高山性の植物が咲き乱れるという。

池ノ平からの光景
「雲上の丘」からの遠景 2007/7/5 長野県 東御市

梅雨の時期、晴れ間の広がる7月始め、かなり混雑した池ノ平の駐車場にクルマを置き、
「雲上の丘」、「見晴岳」、「三方が峰」、「池ノ平湿原」にいたるコースを辿った。
中学校の遠足の一群、中高年者、おばちゃん群団、家族連れのハイカー、本格登山者など、高原の花見シーズンに入った池ノ平湿原一帯は山の賑わいを見せていた。
散策道の山道は岩石でややごつごつしているものの子供たちでも歩ける平易なコースで歩きやすい。
「雲上の丘」に向かう道沿いは、今を盛りと、高原や亜高山の花が咲き競っている。
ツマトリソウ、グンバイズル、シロバナヘビイチゴ、スズラン、ゴゼンタチバナ、マイズルソウ、オオヤマフスマ、コケモモ、イワカガミなどが咲き乱れる中、
傾斜地の草原を青紫に彩っている、綾目紋様もあざやかなアヤメの群落、

アヤメ群落
霧に煙るアヤメの群落 2007/7/5 長野県 東御市


ツマトリソウ
可憐なツマトリソウ 2007/7/5 長野県 東御市

薄紅紫の花びらが爽やかで美しいグンナイフウロの群生、

グンナイフウロ
グンナイフウロ 2007/7/5 長野県 東御市

蛇足だがグンナイとは郡内と書き、山梨県東部の山間地域の古名である。
この地域に多かったことからの命名であろうか。
そして高原のすがすがしさを演出している純白のカラマツソウの花。

カラマツソウ
爽やかさの演出、カラマツソウ2007/7/5 長野県 東御市

このカラマツソウの花は薄紅色を帯びるものもあるが、花の姿がカラマツの葉に似るので名付けられたという。
またこの花には花弁はなく、萼も早く落ちてしまうため、白い花びらに見えるのは雄しべの集まったものである。
このカラマツソウの仲間で、やや湿ったところに生えるシキンカラマツは紅紫と黄色のコントラストの美しい花であるが、紅紫色の花弁に見える部分は萼であり、この花も花びらはない。

シキンカラマツ
紅紫と黄色の妙 シキンカラマツ 2006/8月 長野県 軽井沢

更に尾根道を三方が峰の方に向かって歩くとヤマオダマキやシャジクソウ、オトギリソウ、イワハタザオ、オンタデなどの花が見られる。

ミヤマオダマキ
ヤマオダマキ 2007/7/5 長野県 東御市

ところどころに、最近のNHKの連続の朝ドラで紹介され有名になった?花、
ハクサンチドリが真紅の花を咲かせている。

ハクサンチドリ
真紅紫のハクサンチドリ2007/7/5 長野県 東御市

そしてしっかりと柵がされているが、尾根沿いの瓦礫地にコマクサの見事な群落。
大半のハイカーはこの時期、このコマクサを求めて池ノ平に足をはこぶ。

コマクサ群落
コマクサの群落 2007/7/5 長野県 東御市

コマクサを観賞するのに、このばかでかい鉄柵はちょっと興ざめでもあるが、こうでもしない限り保護できないということなので仕方ないのであろうか。
数年前、やはりこの池ノ平を訪れた時、このコマクサの鉄柵は今回と同じたたずまいであったが、
他の場所で有刺鉄線(ばら線)で囲ってある場所があった。
これは明らかに行き過ぎで、歩行者が有刺鉄線で怪我でもしたらと、腹が立った。
今回はこの有刺鉄線は普通の柵に変わってはいたが・・・。
しかしこれほどしなければ高山植生が守れないのであれば、観賞する側も猛省する必要があろう。

池ノ平のコマクサをここまで群生させるのは大変な努力があったことだろう。
高山植物の女王といわれるコマクサはその美しさ故、また結核に聞く薬草ということで、過去には乱獲された経緯があり、各地で絶滅に近い状態になったところも多いという。
日本各地の山岳地帯でコマクサの復元を目指して、さまざまな管理、手入れが行われているようであるが、もともとコマクサが自生しないところまで、観光的な視点で植え付けられている場所も多いと聞く。
もとあったところの復元努力はいいが、存在しなかった場所の植え付けは自然生態系の視点からもいかがなものであろうか。
また園芸用として中国産の苗などもかなり出回っているようであり、自然への復元のための植え付けは十分注意して欲しいと思う。

三方が峰周辺のコマクサを観賞した後、池ノ平の高層湿原に降りた。
この湿原は各地の有名な湿原と同様、木道が整備され大変歩きやすい。

案内版によれば、この木道は数年前、散策者による、貴重な植物の踏みつけと乾燥化から守るため敷設されたようである。
確かに数十年前に訪れた頃に較べると、池の数や水の量も少なく、湿原は乾燥化し、
笹がかなりの部分を覆ってしまい、草花の数はかなり減少しているように思われる。
池ノ平湿原に限らず、現在、尾瀬を始めとする各地の湿原の乾燥化が問題視されている。
乾燥化は主に踏みつけなどの人為要因と、自然遷移や温暖化といった自然要因の両面に原因が指摘されているが、
人為の面は木道の整備や入場制限といった施策でなんとかなりそうであるが、
自然要因による乾燥化、森林化などは管理の難しい側面がある。
場所によっては野焼き、草刈り、笹退治など行われているようではあるが。
今後どう乾燥化と向き合っていくかは、湿原維持のための大きな課題であり、積極的な取り組みが必要とされるであろう。

池ノ平湿原の木道の末端に鏡池がある。
鏡池の周辺には高位泥炭地といわれる凸に浮き上がったところが点在している。
いわゆる高層湿原である。
ここにはミズゴケの絨毯の上に、乾燥や貧栄養に耐えられる特殊な植物が育成している。
ヒメシャクナゲやモウセンゴケ、ツルコケモモの類である。
ここ鏡池の周辺の特殊な植物群落は、木道から離れているため詳細な観察が出来なかったが、双眼鏡でかなりのヒメシャクナゲの群落が見られた。

木道沿いでミヤマハンショウズルが暗紅紫色の美しい鐘型の花を開いていた。
この花も花弁はなく、萼が花弁の役割を負っている。

ハンショウズル
妖艶な彩り、ミヤマハンショウズル 2007/7/5長野県 東御市

ミヤマハンショウズルを撮ったのを最後に、残念ながら駐車場からクルマを出さないといけない時間となってしまい、帰路を急いだため、湿地の花の多くはこのペ−ジに載せることが出来なかった。また別の機会に譲りたいと思う。
【2007.09.05 Wednesday 10:55】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
ヤシオツツジの系譜・・・ムラサキヤシオ
ヤシオツツジはアカヤシオ、シロヤシオ、ムラサキヤシオの3種のヤシオツツジがあります。
どの花も気品に充ちた美しい花です。
西上州アカヤシオ
西上州のアカヤシオ 2007/4/30 群馬県 南牧村

アカヤシオは日当たりのよい山地や岩峰に見られるツツジ科の落葉低木で、高さは5m位。
長さ5cm位の広楕円形の葉が、枝先に5個輪生状につき、4〜5月頃、
葉の開葉に先立って、枝先に薄紅色の花を、やや下向きかげんにつけます。
シロヤシオ
ブナ林のシロヤシオ 2006/5/19 群馬県 甘楽郡
 
シロヤシオは、本州(岩手県以南の太平洋側)、四国山地の林内や岩場に見られるツツジ科の落葉低木〜高木で、高さは8m位になります。
長さ4cm位の広楕円形の葉が、枝先に5個輪生状につき、5〜6月頃、
葉の展開と同時に白色の花をつけます。
5個の葉が輪生することからゴヨウツツジの別名があります。
葉も花も清楚で美しいツツジです。
アカヤシオの彩り
濃い紅紫色のムラサキヤシオ 2007/5/19 群馬県 長野原

ムラサキヤシオは、中部地方の日本海側から東北、北海道の山地や亜高山に見られるツツジ科の落葉低木で、高さ2〜3m位。
長さ5cm位の倒卵形の葉が、枝先に輪生状に互生し、5〜6月頃、
葉の開葉に先立つか、同時に、枝先に濃紅紫色の花を2−6個開きます。
ヤシオツツジ(八染ツツジ)とは、紫色の染料に何回もつけて染め上げた美しいツツジの意味があります。
深山に生えるのでミヤマツツジの別名があります。

かつてまだ山の花などには特別興味も持っていなかった若い頃、尾瀬の周辺に岩魚釣りに行ったことがあった。
尾瀬のふもとの片品村に知り合いがいて、尾瀬周辺の谷川を案内してもらった。
季節は6月半ば、登山道から小さな沢沿いを下りて谷川にでる。
6月半ばとはいえ、雪解けが終わったばかり。
尾瀬にも遅い春が訪れ、周辺の木々の芽吹きが始まっていた。
沢沿いを降りていくと、沢に沿って、ぽつんぽつんと咲いている、
葉が大きく、
薄青紫の大きな花をつけた草花に目をうばわれた。
シラネアオイ
雪解けの深山に咲くシラネアオイ 2006/7/19 長野県 栂池

そしてところどころに、大きな葉に可憐な黄色い花をつけたスミレ。
黄菫咲く
雪解けの傾斜地に咲くオオバキスミレ2007/6/5 長野県 栄村

沢沿いの水が浸み出ている地面に、放射状(ロゼット)に広がった葉の中心から花茎を伸ばし、その先についた、球形の花火のような紅色の花。
芽吹き始めた木々の萌黄のなかで、輝くように、ひときわ真紅の爽やかな、艶のある美しいツツジの花。
新緑のムラサキヤシオ
若葉の中で輝くムラサキヤシオ 2007/6/4 群馬県 野反湖

川の岸辺を覆うように、濃紅色の蕾と、清々しいピンクの花をつけたシャクナゲ。
それらは、シラネアオイ、オオバキスミレ、ショウジョウバカマ、ムラサキヤシオ、アズマシャクナゲの花であった。
当時は名前も全く解らず、ただその美しさに感動し、夢中で手持ちのカメラに収めた。
どの花も、雪解けが終わり、芽吹きが始まったブナやミズナラの林の中や、渓流の谷沿いで花を咲かせており、その美しさはひとしおであった。
そのなかでも、芽吹いたばかりの若葉の中で、ひときわ鮮やかで、艶のある真紅紫が目立つムラサキヤシオの美しさは感動そのものだった。

そんな体験から、ムラサキヤシオの花にはやみつきになり、ムラサキヤシオが咲く時期になると、ムラサキヤシオ咲く山々を訪ねるようになり、
同時に野山の花々の写真を撮り歩くきっかけとなった。

その後、赤城山、日光白根、戸隠高原、草津、野反湖、奥志賀など、ムラサキヤシオの花を求めて散策の旅を続けた。

本年2007年は、草津殺生が原、野反湖、奥志賀林道沿いで、ムラサキヤシオと出逢った。
シャクナゲ林のアカヤシオ
シャクナゲ林のムラサキヤシオ 2007/6/4 群馬県 草津

野反湖とムラサキヤシオ
野反湖のムラサキヤシオ 2007/6/4 群馬県 野反湖

ブナ林のムラサキヤシオ
ブナ林に咲くムラサキヤシオ 2007/6/5 長野県 栄村

草津ではアズマシャクナゲ、ハクサンシャクナゲとの混生、
野反湖ではダケカンバ林、
奥志賀ではブナの原生林に咲くムラサキヤシオの花が、
芽吹き始めた若葉の中で、紅紫の濃淡それぞれの彩りで、
個性的で、輝くような、艶のある美しさを発揮していた。

【2007.06.25 Monday 11:55】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
軽井沢の植物・・・「鬼押出し」の植物の生態 
北軽井沢の「鬼押出し」は天明3年(1783年)の浅間山の噴火により噴出した溶岩による岩塊です。
浅間鬼押出し
浅間鬼押出し 2007/5/20 群馬 北軽井沢地区

「火口で鬼があばれ、岩を押し出した」という当時の人々の噴火の印象が、「鬼押出し」という名前の由来になっているといいます。

「鬼押出し」の自然遊歩道周辺では四季折々の花々が咲き、見事な花木たちが迎えてくれます。
5月から6月にかけては、通常では2000m以上の高山でないと見られないツツジ科を中心とした高山性樹木の花々が、「鬼押出し」の岩上を彩ります。
トウゴクミツバツツジ
トウゴクミツバツツジ 2007/5/20 群馬 浅間鬼押出し

ツガザクラ
岩場を彩るツガザクラ 2007/6/4 群馬 浅間鬼押出し

トウゴクミツバツツジ、ツガザクラ、ミネズオウ、ツガザクラ、イワヒゲ、コメバツガザクラ、コケモモ、クロマメノキ、シラタマノキ、アカモノ、コメツツジ、コヨウラクツツジ、アズマツリガネツツジ、ウラジロヨウラク、ヒカゲツツジ、コメツツジ、ホツツジ、アズマシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、などが「鬼押出し」火山岩の岩場を彩る、矮性ないし低木のツツジ科の植物です。

ミネズオウ
岩上のミネズオウ(ツツジ科)2007/5/20群馬 浅間鬼押出し

イワヒゲ
岩場のイワヒゲ(ツツジ科) 2007/6/4 群馬 浅間鬼押出し

ヒカゲツツジ
ヒカゲツツジ咲く 2007/5/20 群馬 浅間鬼押出し

鬼押出し・アズマシャクナゲ
アズマシャクナゲ咲く岩場 2007/5/20 群馬 浅間鬼押出し


イワウメ科のイワカガミが岩場のいたるところでピンクの濃い花を咲かせています。
イワカガミ
岩場をピンクに彩るイワカガミ 2007/6/4 群馬 浅間鬼押出し

木陰では、純白のアジサイのような樹木の花がところどころで目立ちます。
装飾花をつけたスイカズラ科のオオカメノキです。
低山でも見られるヤブデマリにもよく似ています。
オオカメノキ
オオカメノキの花 2007/5/20 群馬 浅間鬼押出し

どちらもアジサイに似た装飾花をつける樹木ですが、ユキノシタ科のアジサイとは違う仲間です。
そして草本のマイズルソウや、ツバメのオモト、薄いピンクで褄取られたツマトリソウが咲いています。
香りのよいイブキジャコウソウが咲き始めると夏の訪れとなります。

岩場の樹木
岩場の樹木 2007/6/4 群馬 浅間鬼押出し

「鬼押出し」では噴火より230年ほどの時が経過し、植性の遷移が進みつつあります。
遷移とは、自然の植生は年月の経過と共に、次第にそこに生息する植物の種類が変わっていくことをいいます。
噴火後、無生物状態の熔岩上に地衣類、菌類、コケ類、などが入り込み、下地が出来てくると
次にはシダ植物、1年生殖物、そして次には多年草植物、そして更に地面がしっかりしてくると、樹木の種が風などで飛んできて樹木が芽生えてきます。
はじめは、貧栄養の荒れ地や乾燥地に強く、なおかつ幼樹の時に日の光を多く必要とする陽樹といわれる樹木が繁ってきます。
陽樹が繁ると、林下は日陰になり、陽樹は育たなくなり、日の光が少なくても育つ陰樹といわれる樹木が茂ってきます。
この陰樹が育つとその後、安定し森林がずっと続きます。
この安定した森林を、専門的になりますが、極相林といいます。
鬼押出し・ダケカンバ林
ダケカンバ林の成長 2007/5/20 群馬 浅間鬼押出し

230年たった浅間山中腹の、「鬼押出し」の現在は、遷移の段階で見ると、陽樹の繁る段階で、針葉樹のマツ、カラマツ、落葉広葉樹のヤナギ類、シラカバ、ダケカンバ、ヤシャブシ、コナラ、ミズナラ、ナナカマド、各種ツツジ科の樹木等々が見られます。
「鬼押出し」などの火山灰台地はかなり酸性が強い土壌です。酸性の土壌は植物たちにとっては生育するのに大変厳しい環境です。
そんな中で上記のようなツツジ科のさまざまな樹木が繁茂しています。
アズマツリガネツツジ
鐘形のアズマツリガネツツジ 2007/6/4 群馬 浅間鬼押出し

ツツジ科の植物が強い酸性土壌の中でも繁茂出来るのは、根に付く菌類との共生によることが知られています。
専門的になりますが、この根と菌類の共生体を菌根、共生する菌類を菌根菌と呼びます。
どんな樹木でも、たいてい菌根菌との共生関係を結んでいます。特に火山岩台地の植物の定着には、この菌根菌が大きな役割を果たしています。
この菌根が、ツツジ科の仲間達が、過酷な条件下で生きてゆける理由の一つです。
このようにツツジ科の植物は、菌根菌(糸状菌)から水分と無機養分をもらい、代わりに光合成物質(有機質養分)を菌根菌(糸状菌)に返して共に生活をしているわけです。
レンゲツツジ咲く鬼押出し
レンゲツツジ咲く鬼押出し 2007/6/4 群馬 浅間鬼押出し

【2007.06.15 Friday 15:29】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
雪国の里山の初夏の彩り・・・タニウツギ
田の畔に咲くタニウツギ
田の畔に咲くタニウツギ 2007/5/26 新潟 十日町市

新潟の里地・里山では5月半ば過ぎから田植えが始まる。
5月も終わりに近い頃、新潟の十日町市の里山を訪ねた。
里山の道路の周囲は全てが田圃で、いたるところに棚田があり、
水が張られた棚田は、田植えがほぼ終了しており、太陽の光できらきら輝き、
里山の姿を写して美しい。
タニウツギ咲く棚田
タニウツギ咲く棚田の光景 2007/5/27 新潟 十日町市

イネの苗が田を渡るかぜにそよぎ、すがすがしい。
田の畔を行くと、アオガエルの鳴き声が、ところどころで響き、トンボのとびかう姿もちらほらと見にはいる。
畔の斜面には、鮮やかな黄色のサワオグルマの花が、新緑の美しい若草の中で、
今が盛りと咲き誇っている。
サワオグルマ
サワオグルマ咲く田の畔 2007/5/26 新潟 十日町市

里地の古い民家の傍らには、今を盛りと咲いているクリンソウの真紅の花が美しい。
古い民家に咲くクリンソウ
里山の民家の傍らに咲くクリンソウ 2007/5/26 新潟十日町市

棚田が続く山の斜面は、新緑の若緑を背景に、淡いピンク色の美しい花で彩られている。
タニウツギの花である。
爽やかピンクのタニウツギ

初夏の明るい陽ざしと若葉の中で、ひときわ映える淡紅色のタニウツギの花は、爽やかさとあいまって、すがすがしい美しさがある。
ピンクが美しいタニウツギ

タニウツギの花は、山道の道路沿いや、田の畔の斜面、谷筋、雪崩による崩壊地など、いたるところに咲きみだれている。
沢筋、山の斜面、どこまでも続くピンクの花の光景は幻想的でさえもある。

現地では「火事花」の名称もある。
火事花タニウツギ

タニウツギの花が、里山を赤く染めているのを、山が燃えているように例えたのであろうか。
またその「火事花」の由来からか、地元ではタニウツギを縁起の悪い花として、庭に植えたり、仏壇に供えたりすることはないという。
切り花にすると水揚げの悪い花なので、お供えに使うのを嫌ってきたのかも知れない。

タニウツギはスイカズラ科、タニウツギ属の低木で上品なピンクの花をびっしりとつける。
ハコネウツギやニシキウツギなどと同じ仲間である。
ハコネウツギやニシキウツギの花は白から紅色に変わるが、タニウツギは時間の経過と共に、色がやや薄くはなるものの、ピンクの色は変わらない。

「卯の花」といわれるウツギは、タニウツギとは別の仲間で、ユキノシタ科の低木である。

生態的には、タニウツギは光発芽種子をもち、発芽をする時にはたくさんの光を必要とする、いわゆる先駆性樹種である。
そのため、やや湿り気があり、陽の光が多くあたる、高木の生育しない雪崩の崩壊地など、雪国の山谷に多く、春から初夏にかけ山谷はピンクで染められる。

タニウツギは田植えの時期に咲くことから、タウエバナやサオトメバナの名称もある。
里地の田園風景
里山の田園風景 2007/5/26 新潟 十日町市

また新潟では「ずくなし」と呼ばれる木でもある。
「ずくなしとは」方言で根性無しの意味で、タニウツギの髄が柔らかく、芯がしっかりしてないところからきた別名のようである。
伊奈地方などでは、葬儀で「骨を拾う箸」に使われるという。
小説「月山」森敦著、芥川賞受賞作品の中にも、このタニウツギで作られた「骨を拾う箸」の記述が見られる。
また地方によっては「正月花」として愛でるところもあるという。
このように地方によってタニウツギは縁起の悪い悪者になったり、めでたい花として愛でられたりしている。
タニウツギは、地域の人々の古くからの風習と密接に結びついた花であるが故であろうか。

【2007.06.03 Sunday 12:01】 author : haruo1103
| 日本の雑木林の植物 | comments(0) | trackbacks(0) |
植物撮影デジカメ
リコーデジタルカメラ
カプリオ 500SE

メッセージ